施福寺(槇尾寺)には方違観音・馬頭観音など多くの観音様が~御朱印や階段数なども解説
梶尾寺の名で知られる施福寺は迫力の観音様が数多く揃っていることで知られています。
この記事では施福寺に鎮座する方違観音や馬蹄観音などについてくわしくご紹介します。
参道にある階段数や御朱印などについてもお伝えしますので、参拝の参考にどうぞ。
施福寺の歴史
施福寺(せふくじ)は「槇尾寺」(まきおでら)と通称でも親しまれる天台宗のお寺です。
山号は「槇尾山」で、その名の通り梶尾山の中腹に鎮座しています。
ご本尊は弥勒菩薩です。
創建は6世紀頃と伝わっています。
欽明天皇の病気平癒という勅願により創建されたとみられていますが、くわしいいきさつについてははっきりとは分かっていません。
『日本霊異記』には施福寺に関する記述があるため、9世紀頃には名の知れたお寺であったことが分かります。
南北朝時代には南朝側にたち、拠点の1つとなっていたため戦乱に巻き込まれ、戦国時代には織田信長の軍勢によって堂宇が焼失します。
豊臣秀頼や徳川家の援助を得て再建されました。
施福寺には数多くの観音さまが安置されている
施福寺には参道前の仁王門にはじまり、境内に数多くの観音さまが安置されています。
それぞれの魅力についてご紹介します。
なお、本堂の仏像を拝観するためには拝観料として500円必要になります。
弥勒菩薩
ご本尊の弥勒菩薩は秘仏とされており、毎年5月1日~15日の期間中のみご開帳されます。
十一面千手千眼観音菩薩
ご本尊である弥勒菩薩像の脇侍として愛染明王像と共に安置されています。
西国観音霊場のご本尊でもあります。
こちらの観音さまには施福寺にかつて姿を現したという伝説が残っています。
客僧として現れ一心に修行と寺の用事をこなした後、帰りの旅費を願いますが施福寺の僧達は拒否します。
怒った客僧は「見かけは立派な寺でも、本当の僧は一人もいない」と怒り出し帰ります。
その後をおいかけた僧・法海は客僧が海の上を歩いて帰る姿を見つけます。
「御仏が私を戒めるために姿を現した」として法海はその際に見た姿を仏像に刻んだといいます。
それが十一面千手千眼観音菩薩です。
残念ながらこの像は火事に遭った際に失われてしまい、現在安置されているのは江戸時代に入って再建されたときに彫られたものです。
方違大観音像
施福寺に安置されている方違観音像はその名の通り、参拝すると方違えのご利益を頂ける仏像です。
方違えとは「凶」とされる方角を避けるために目的地に向かう際に方角を改める習慣を指します。
方違えのご利益を頂ける観音像は、日本国内を探してもここだけだといわれています。
馬頭観音
本堂奥に安置されている馬頭観音は50年もしくは60年の一度のご開帳となっています。
一生に一度ご開帳に巡り会えるかどうかですので、もし公開される場合は千載一遇のチャンスといえますのでお見逃しないようにしましょう。
施福寺の馬蹄観音には花山法皇にまつわる伝説があります。
かつて霊場巡りを行っていた花山法皇ですが道に迷ってしまいます。
困った末に、馬に鈴をつけて解き放ちます。
その鈴の音と足跡を辿って、無事に花山法皇一行は霊場に辿り着くことができたんだとか。
その感謝の気持ちを込めて、お寺に馬蹄観音像を奉納したといわれています。
馬蹄観音像は普段は拝観できませんが、境内には馬の象が鎮座しています。
こちらも馬蹄観音への感謝の気持ちを表した像といえます。
観音堂
施福寺境内にある観音堂には、西国33ヶ所霊場に安置されている仏像と同じものが安置されています。
施福寺に参拝するだけで、西国33ヶ所霊場めぐりと同じだけのご利益を頂けます。
本堂だけではなく観音堂も参拝しておきましょう。
施福寺の御朱印
施福寺の御朱印は全部で5種類あります。
「大悲殿」(西国三十三ヶ所観音霊場第4番)の墨書きと御詠歌の御朱印、「槙尾不動尊」の墨書き、「馬頭観音」の墨書き、「方違大観音」の墨書きの計5種類です。
初穂料はそれぞれ300円です。
御朱印はすべて境内にある授与所で頂くことができます。
受付時間は8:00~17:00ですが、冬の間は16:00までです。
また2017~2020年は西国草創1300年記念ということで限定スタンプを御朱印に押してもらえます。
施福寺オリジナルデザインの御朱印帳は現在のところありません。
アクセス方法
施福寺には参拝者専用の無料駐車場が約100台分あります。
最寄りのインターチェンジは阪和道「岸和田和泉IC」です。
岸和田和泉ICから施福寺までは国道170号線を経由して府道228号線に入ります。
公共交通機関を利用する場合、乗り換えがあります。まずは泉北高速鉄道の「和泉中央駅」で下車します。
南海バスの「槙尾山口行き」もしくは「父鬼行き」に乗車し、「槙尾中学校前」バス停で下車します。
そこからオレンジバスに乗り換え「梶尾山」で下車します。
ここから先の参道は徒歩になります。
施福寺の階段はかなりの難所!
駐車場がある施福寺ですが、お寺は山の中腹にあり参拝のためには階段を登らなくてはいけません。
この階段がなんと全長1㎞あり、西国33ヶ所霊場の中でも最も過酷な参拝道と言われています。
きちんと整った階段だけではなく、自然に埋もれるようにして崩れかけ階段数も数えられなくなった階段などもあり歩きにくくなっています。
そのため登るだけでも30~40分はかかります。
参拝は歩きやすい靴で出かけましょう。
また途中で自動販売機や茶屋がありません。
特に暑い日などは飲料水を持参するなどして暑さ対策に気をつけておきましょう。
施福寺の鎮座する梶尾山は大阪府・奈良県・和歌山県にまたがる場所であり、近くに国立自然公園もあるため人気のトレッキングコースとなっています。
そのため施福寺の参拝者だけではなく登山客も参拝道を歩く姿が見られます。
紅葉が見事なことでも知られており、秋には観光客で参道が賑わいます。
まとめ
施福寺の観音さまについてご紹介しました。
日本で唯一こちらでしかみられない方違観音やなかなかご開帳されない馬蹄観音など、珍しい観音様が数多く安置されています。
山の中に鎮座するお寺のため相当数の階段数を登る必要がありますが、その分たどりついたときの達成感があります。
参拝する際には準備を万全にしてお出かけ下さい。
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