沖縄の巡礼~東御廻りと今帰仁上りについて
沖縄には独特な信仰の文化があり、観光客でもその風習を体験することが可能です。
この記事ではそんな独特な風習の1つ「沖縄の巡礼」についてご紹介します。
何かテーマに沿った沖縄の観光がしてみたい方、より深く沖縄の文化について知ってみたい方にオススメの情報です。
東御廻りと今帰仁上りについて具体的に解説します。
ぜひお出かけの予定を立てる際の参考にして下さい。
沖縄の巡礼には様々なテーマがある
沖縄には数多くの聖地が存在します。
最も特色ある聖地といえば「御嶽」が挙げられてます。
御嶽は先祖の霊や自然そのもの、神さまをお祀りし祈りを捧げるための場所です。
またグスクと呼ばれる古城は、住居用の他に軍事的に用いられた要塞や役所としての機能、 祭祀のための場としての機能もありました。
またなかなか水を得にくい地理的な要因もあり、井戸や湧き水が聖地として崇拝されています。
多くの聖地がありますが、それぞれは性格やテーマ毎に仲間分けすることができます。
そして仲間ごとに目的に応じて巡礼することが、沖縄では一般的に行われています。
たとえば琉球神話に関連した聖地を巡る「琉球開闢七御嶽」をめぐる巡礼や、水への感謝の気持ちを込めて行われる「湧水巡り」などです。
また「門中」と呼ばれる父系の血縁関係者共通のご先祖様を訪ねてまわる巡礼も存在しています。
今回は特に沖縄で盛んに行われている「東御廻り」と「今帰仁上り」について解説していきます。
沖縄の巡礼①東御廻り
東御廻り(あがりうまーい)は沖縄で最もポピュラーといってもいい聖地巡礼で、首里からはじまり玉城を中心に琉球神話にゆかりの深い聖地を巡っていきます。
東御廻りの意味
琉球王府がおかれていた首里からスタートして、東に向かって聖地巡礼を行います。
「東」は沖縄では特別な意味を持つ方角です。
沖縄を生み出した神々ははるか東の彼方とも海の底ともいわれるニライカナイからやってくると考えられていました。
その方角に向かって祈りを捧げることは、神さまに向かって祈ることと同意義だったのです。
またニライカナイには神々だけではなく、琉球に住んでいた人々のご先祖様がすむ死者の国とも考えられていました。
そのため東方に向かって祈ることはご先祖様にご挨拶することと同じ意味を持つのです。
東御廻りは古い歴史をもつ巡礼と考えられていますが、はっきりとしたルーツは分かっていません。
しかし琉球国王が国家安泰を祈願し東方の聖地を巡っていた国家行事が、時代を下るにしたがい士族や庶民に浸透していったものだと考えられています。
東御廻りの拝所
- 園比屋武御嶽石門(那覇市)
- 御殿山(与那原町)
- 親川(与那原町)
- 場天御嶽(南城市)
- 佐敷上グスク(南城市)
- テダ御川(南城市)
- 斎場御嶽(南城市)
- 知念グスク(南城市)
- 知念大川(南城市)
- 受水・走水(南城市)
- ヤハラヅカサ(南城市)
- 浜川(南城市)
- ミントングスク(南城市)
- 玉城グスク(南城市)
沖縄の巡礼②今帰仁上り
今帰仁上り(なちじんぬぶい)は主に今帰仁村にある聖地を巡ります。
今帰仁上りの意味
東御廻りが沖縄全土の先祖崇拝や国家安泰を祈願するのに対し、今帰仁上りはより狭い範囲である「門中」の先祖供養の性格が強い巡礼となっています。
5年に一度ほどの周期で、一族総出で出かけます。
時期は特に10~11月に集中しています。
アマミキヨ伝説に関する聖地の他、北山監守とノロに関連する聖地をめぐります。
門中によっては拝所に違いがありますが、主に今帰仁上りの拝所と呼ばれるのは18ヶ所です。
今帰仁上りは東御廻りと同様にはっきりとした起源は分からないものの、1838年頃にはすでに実施されていたようです。
今帰仁上りの拝所
- カラウカー
- 火の神の祠
- テンチジアマチジ
- ソイツギ
- クバの御嶽
- 阿応理屋恵ノロ殿内跡
- 今帰仁ノロの火神跡
- 供のかねーノロ殿内跡
- 今泊の親川
- 今帰仁ノロ殿内
- 今泊の津屋口墓
- 諸志の赤墓
- 中城ノロ殿内
- 池城墓
- 大北墓
- 百按司墓
- ティラガマ
- 勢理客ノロ殿内跡
①~④の拝所は全て今帰仁城跡内にあります。
沖縄の巡礼で気をつけるべきこと
沖縄の巡礼は今なお続いている習慣であり、観光客向けのパフォーマンスではありません。
特に守るべきルールについてご紹介しますので、出かける前にチェックしておいて下さい。
- 祈りを捧げている人の邪魔にならないように場所を譲ったり騒いだりしないようにする
- 拝所に捧げる線香やお酒は持参する
- 石など聖地にあるものに触れたり足をかけたりしない
まとめ
沖縄の巡礼についてご紹介しました。
主に門中や地縁関係の集団で巡礼に出かけることが多く、それぞれのグループの祖先に縁のある聖地を巡るため様々な組み合わせの巡礼地が存在します。
中でも有名な「東御廻り」と「今帰仁上り」についてご紹介しました。
関連する聖地をめぐると、より沖縄の文化や風習について理解しやすくなります。
「パワースポットを巡りたいけれど、どこから行けばいいのかよく分からない」という方は、行き先選びの参考にどうぞ。
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