今帰仁上りの拝所・火の神の祠は沖縄での「ヒヌカン」の位置づけ
沖縄における城は要塞としての機能だけではなく、祈りの場としての役割を併せ持つものが多く見られます。
今帰仁城も軍事拠点としての性格だけではなく、拝所など宗教に必要不可欠な祭祀の場も設けられていました。
今帰仁城内には火の神の祠もあります。
この記事では火の神の祠についてと、訪れる前に知っておきたいヒヌカンについての情報をご紹介します。
おでかけの参考にどうぞ。
火の神の祠は今帰仁上りの拝所
「火の神の祠」はおよそ17世紀頃に設置されたと考えられている火の神をお祀りするためのパワースポットです。
正式には「今帰仁里主所(なきじんさとぬしどころ)の火の神の祠」と呼び、今帰仁城監守一族が代々祀ってきた神さまといわれています。
今帰仁城監守が今帰仁城を去ることになった後は、この火の神の祠を中心に祭祀の場として使用されるようになりました。
今帰仁上りの拝所のひとつであり、現在でも旧暦8月10日には祭祀が執り行われるなど人々の信仰を集めています。
現在の場所には1987年頃移築されました。
建物の中には火の神の象徴である香炉と霊石があり、その前で人々は祈りを捧げます。
沖縄ではヒヌカンは家内安全の守り神
まずヒヌカンとは「かまどの火の神さま」を指す言葉です。
古今東西、かまどには神さまが宿ると拝む文化が見られます。
日本本土でもかまどの神さまとして奥津日子神・奥津比売命をお祀りしています。
かまどでは命の維持に必要な食べ物の用意を行うほかに、そのほの暗さが霊界に通じるためあの世に近い場所として信仰の対象となってきたのです。
沖縄においてヒヌカンをお祀りするのは女性の役割であり、仏教や神道がもたらされるより以前から信仰の対象となっていたため非常に格の高い神さまといえます。
ヒヌカンを拝む際に注意しなければいけないこと
ヒヌカンは各屋敷に宿る神さまです。
ヒヌカンをお祀りするのは女性の役割であり、各家庭ごとにお祀りする神さまなので、部外者がお目にかかることはできない存在です。
家族の健康や安全をお祈りするほか、家族の日頃の様子についても報告します。
そして家族についての情報はヒヌカンによって沖縄を見守る神々へと伝えられるといわれています。
そのためヒヌカンの前では他人の悪口は厳禁とされています。
「沖縄で信仰されている神さまらしい。とりあえず何かお願い事を祈願しておこう」と軽い気持ちで拝むことはやめておきましょう。
火の神の祠への行き方
火の神の祠は今帰仁城跡公園内にあります。
那覇空港から今帰仁城跡公園までは車で約100分です。
高速道路を利用すると約80分ほどです。
最寄りのインターチェンジは「許田IC」です。
インターチェンジから県道494号線を経由して県道505号線に入り道なりに進むと、「今帰仁城跡公園」への道路案内標識が見えてきますので案内に沿って進みましょう。
無料の駐車場が完備されています。
入場料として大人400円、小学生・中学生・高校生は300円必要です。
まとめ
今帰仁城内にある火の神の祠についてご紹介しました。
火の神の祠にはヒヌカンと呼ばれるかまどの火の神さまをお祀りしています。
各家庭を守護するほか、他の神さまに人間の日頃の様子を報告する存在でもあります。
そのため軽い気持ちで参拝しないようにしておきましょう。
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